2022年5月号:Airdaさんと3度目の春、まちの未来
オホーツクにも春の予感。
こんにちは!オホーツクハウスを運営する、株式会社トーチのさのです。
さくら前線の終着点・オホーツクでも今年も桜が散り、やっとコートがいらないような気候になってきました。キツネもそこらで顔を出す季節。それでも朝晩はまだなかなか冷え込みます。
今回は1月に続いて、Airda(エアダ)さんに2回めの記事を書いていただきました!お子さんが大きくなってきて、自分のお子さんの未来も含めて、これからの暮らしにをリアルに感じることが増えてきたAirdaさん。そんなオホーツク暮らしの静かな心の動きのお話です。
どうも。Okhotsk strange soundのAirdaです。
AirdaというアーティストネームをOkhotsk strange soundに改名しました。
1人ですがOkhotsk strange soundというバンドにAirdaが所属している気持ちでやってます。
そんなややこしい自分の詳細についてはオホーツクハウス通信1月号をご覧ください。
先日、知床で大きな事故が起きてしまいました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
現在も関係者による懸命な捜索が続けられており、一刻も早く行方不明となっている方々が見つかることを祈るばかりです。
そういった中でも生活は続き、ウトロに通い斜里に帰る毎日。
自分ができることをこなしていく。
ここからは独白のような形で引っ越してきてからの心境の変化を書かせてもらいます。
前回とテンションが違うけど許してね。
ライフワークである作曲と置物作りさえできればなんだっていい、と考える男が、東京から知床へ移住して丸2年。どのように心が動いたのか。できる限り正直に書く。
そういった男の取るに足らない記録が何かの役に立てれば幸い。
それでは。
2020年3月某日。羽田空港から飛行機に乗り、窓から離れていく故郷の景色をぼんやりと眺めていた。
東京で清里町出身の妻と知り合い結婚しUターン。東京から女満別空港が近いことや、東京の友達がこちらに遊びに来てくれることを想像した時の期待の方が大きく、故郷を離れる寂しさはあまり感じなかった。
だからといって「〇〇〇@〇月から〇〇に移住」と、Twitterのアカウント名を変更し大々的に宣伝しなかったのは、単身での移住ではなく嫁さんの実家の方へ行くということに、多少なりとも安心感、同時に後ろめたさを感じていたから。これは今まで身寄りもない移住先で奮闘する人の本や記事を見ていたので、そこからくる後ろめたさだった。別にそんなこと感じなくてもいいんだけどね。
と思ったら、思いっきり宣伝してた。しかも拡声器の絵文字つけて。
それに伴い3月に企画することにしたので遊び来てね。
詳細は未定!
まあでもこれは企画の宣伝の方が大きいから…(小声)。
閑話休題。
町のシンボル斜里岳
斜里へとやってきた自分はウトロにあるビジターセンターで働くことになった。
知床について知っていることは何もなくて、完全に真っ白の状態で入社。
正直「まぁ野鳥好きだし?たまに登山もするし(年に1回)?割と自然好きだし肌に合うのでは?」と思っていたが、実際知床は、石を投げれば尋常じゃない熱量、知識、経験を持った自然大好き人間が集まる場所で、私はそういった人達に会う度に「自分は自然がそこまで好きじゃない」と痛感することになる。正に井の中の蛙大海を知らず。
しかし当時はそんなことを考える余裕もなかった。職場を通じて出会う人や、同じくオホーツクハウス通信を担当している村上さんの熱量、中山さんの情報発信力と地元愛、ゆきのさんの目標、濃い魅力を持った町の人々等々と出会う中で、自分も「何かをして貢献する人間にならなければ」となかば焦りながら、住む町の魅力を発信しようとしていた。
何の思い入れも持たず、移住した町の魅力を発信し、Twitterやインスタでいいねをもらうことで、町の一員として認められているような気持ちになり優越感に浸っていたような気もする。
具体的な目標も無く、フワフワしたまま駆け抜けた1年目だった。
2月頃になるとやってくる流氷。横目に見ながら通勤するのも日常になった
2年目からは移住や町のことについて自分なりの考えが見えてきた、と思いきや、他の人の行動や考えを目の当たりにしてまた迷い始め、の繰り返し。心の中での浮き沈みが激しく、疲れることも多かった。
そんな時に妻の妊娠が発覚した。大変嬉しかったが、自分が本当に我が子を可愛がってあげられるのか?という不安もあった。
実際生まれてみると目に入れても痛くなく、日々の成長が楽しみになっている。
そういった中で、「人口が少ない町に住む」という事への不安を自覚した出来事があった。
そもそも「町に住む」は「息を吸う」と同じであり、「町に住むとは?」と哲学的なことを馬鹿みたいに考えても仕方がない。基本的に何も考えず、町に全体重をかけて住んでいると思う。
しかし、娘の保育園の合否の連絡に関して不備があり、私達夫婦はその対応に大きく不信感を感じた。人生で初めて役場に投書した程に。
この事があってから色々な事が線で結ばれて、町に住むという事への考えが自分の中ではっきりした。
そこでふと感じた気持の一部をツイートにした。
弱気な考え。
これは斜里に限らないと思っている。人口が減り続ければ、その町に住みたくても住めない状況が発生するのではないだろうか?自分の中で不安が生まれた。
娘は間もなく1歳になるが、高校を卒業する17年後。町は一体どうなっているのか?
17年後には私達夫婦は50歳過ぎになっており、体にガタも出てくるはずだ。その時近くに病院が無い。インフラを整備する技術者も減少し、もしかしたら道路が通れなくなったり、下水道の整備が行き届かなかったりするせいで住めない地域も出てくるかもしれない。
今までは、子供の自立を機に都会へ移住する感覚がよくわかっていなかったが、利便性を考えれば必然的な選択だと思う。
でも、それでも自分はこの辺りに住んでいたい。その為にはどうすればいいのか?
子供が生まれて未来のことをよく考えるようになった。
おすそ分けで貰った鹿肉。めちゃくちゃ美味かった。この先もあげたり貰ったりしながら暮らしていきたい
とはいえ自分は、根が不真面目でちゃらんぽらんで酒好きの怠け者なので、そもそもこんなことを考える柄でもないと今でも思っている。「いつでも好きな町に行って好きなように暮らし、また違う所へ行く生活」に憧れるけど、人口が少ない田舎に長く住む以上「町の未来」からは避けて通れないと感じている。
こんな風に書くと、四六時中「町の未来」について考えているのかと思われそうだけど、大体今日飲むビールと、職場の隣で買える魚のことしか考えていない。
そんな感じの人間なので、仕組みを考えたり変えたりできる人間ではなく、未来のことを意識しながら、自分ができることをやりつつ町と関わっていくのが身の丈に合っているのかなと思う。
斜里を含め道東には魅力的な人がいて、友達もできた。
ここに住み続ける為にも、楽しく考えていきたい。
楽しくなかったら意味が無いからね。
唐突の飯テロ。斜里町のお肉屋さん、佐々木種畜牧場の豚肉で作ったスタミナ丼
クソ真面目に熱く書いてしまったが、熱いとか冷たいとかではなく、「どんどん人口が減ってきたら、住みたい町に住めないという事態が起きるのでは?」という疑問が自分の中で生まれた話。
道内道外問わず、皆さんどう思っているのか知りたいので感想お待ちしてます。
というか、既に過疎や移住者を増やそうとしている取り組みは各地であるわけで、自分のこの気付きは大分遅いと思うが、正直な自分の気持ちの変化として書かせてもらいました。
以上が東京から知床へ引っ越してきた3年目の男の素直な心境。
最後にちょっとだけ。
子供が出来て創作活動はどうなったのか?
子供との時間は一瞬で、二度と戻ってこないので、思い通りに作れなくてイライラすることは無いし、活動はできている(妻の理解がとても大きい。本当にありがとう)。
しかし育児があり、前と同じペースで制作に打ち込むことはできないが、子供がいる中で時間を見つけて、短いながらも打ち込むスタイルに落ち着いた。
短い時間でも継続することの大事さは、網走で漁師として働きながら画家として活躍する佐々木恒雄氏から学んだ。ありがとうございます。
以上!
次回は必ず美味しい魚について書きます。
それではまた!
Airdaさんありがとうございました!!
お子さんが生まれて感じることのリアル。地元の人だと当たり前に感じてしまうようなことも、違う場所で生まれ育ったからこそ見えるものに、感じる部分も多くありそうです。
「ただ普通に暮らす」ということが難しくなっていく中で、それでも楽しく暮らしていくために、どういうことができるか。それでもこの地域を楽しんでいくには何ができるのか。ちょっと遊びに来てくださる方はそこまで考えることはないと思いますが!笑
もちろんただ遊びに来てくださるだけでも大歓迎です。そんな中で、こういった地元に対する思いを持つ人と外から来た人が接点を持てるだけでも、なにか明るい方向につながる、そんな気がしています。ぜひAirdaさんのことに興味があれば、TwitterなどでもAirdaさんにご連絡してみてください。タイミングが合えば、ウトロの職場ですこしおはなしできるかも…!
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モニタープランとして、このメールマガジンをご利用いただいている方限定で、5〜6月に限り、オホーツクハウスさっつるを2週間1万円(税込)でご提供いたします!
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特に関西からのかたは、peachをご利用いただけば、往復1.5万円くらいで女満別空港までこれます。かなりおすすめです。また地元の方でも、気分転換に生活と作業の場所を変えてみようかな、という方もぜひお気軽にどうぞ!
施設の詳細については、オホーツクハウスのウェブサイトからご確認ください。
※モニター利用アンケートにお答えいただくこと、またウェブサイト等に「ご利用者の声」というようなかたちで掲載させていただくことが条件です。詳細は下記のフォームか、 okhotsk.house@gmail.com までご連絡ください。わりとあいてますので予約日は仮でかまいません。お気軽にご連絡ください!
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次回はまた、2月に書いていただいたむらかみさんに2回めの記事を書いていただく予定です!お楽しみに!
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